【スイス紀行】マニュファクチュール・ツアー 2日目(後編)『ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ』『パルミジャーニ・フルリエ本社』
午前の見学のあと、レストラン『De L’aigle』でランチをいただきました。
こちらは前菜の『きのこのシュークリーム』。前菜からこのボリュームです。
メインは『牛肉のアントルコート マエストロソース』。アントルコートとはフランス語で『リブロース』のことだそうで、ステーキに使用する肉のなかで最高の部位のひとつ。『マエストロソース』と名づけられたソースはコクがあってまろやかで、赤ワインにぴったりでした。
デザートは『ウイユ・ド・ペルドリのタルト』
スイス産ロゼワインを使ったタルトは甘さ控えめでサクッとした食感の、大人のデザートでした。また食べたいです。
ランチはとても美味しかったのですが、かなりのボリュームだったのでディナーが食べられるか心配です。
それでは、午後のスケジュールにまいります。
ヌーシャテル州フルリエにパルミジャーニ・フルリエ本社とヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエがあります。
まずはヴォーシェを訪問します。
■フルリエの頭脳集団『ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ』
今回のマニュファクチュール・ツアーで最も楽しみだったことのひとつが、『ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ』への訪問です。
2003年にサンド・ファミリー財団によってパルミジャーニ・フルリエのウォッチメイキングセンターの旗艦部分として再編されたヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエは、200名強の従業員のうち約150名が主にパルミジャーニ・フルリエのムーブメント製作に従事しているそうです。
同時に、ヴォーシェ製モジュールの完成品供給先リストにはリシャール・ミルをはじめ、非公開も含めて超高級ブランドが数多く名を連ねています。
壁にはヴォーシェの製作している主要なムーブメントの絵が飾られていました。現代アートのようで、とてもきれいです。
ヴォーシェが生み出したパルミジャーニ・フルリエの自社製ムーブメントは、この20年強の間に33以上に上ります。
ヴォーシェでは最新のマシンを使用する一方で、昔ながらの金型による部品製作を導入しています。それは、『繰り返しの加工精度が圧倒的に優れている』からだそうです。
高性能と美観が高い次元で融合したムーブメントはこのようにして生まれているんですね。
正直な感想として、高級時計業界のムーブメント開発の最先端を担っているヴォーシェを訪問できたことは感激でした。
■『パルミジャーニ・フルリエ本社』
今日最後に訪れたのはパルミジャーニ・フルリエの本社です。
19世紀より時計産業の町として栄えたヌーシャテル州フルリエにパルミジャーニ・フルリエの本社があります。
その社屋は1820年に建てられた歴史ある建造物です。
メゾンを率いるミシェル・パルミジャーニ氏はここで新作時計の構想を練り、道路を挟んだ別棟では彼の時計製作の原点である修復が今も行われています。
向かいにある修復工房。こちらも歴史を感じる建物です。
本社の中は温かみのある落ち着いた雰囲気です。
ミシェル・パルミジャーニ氏が解説してくれました。
世界に一つしかない、ミシェル・パルミジャーニ氏が修復した1820年に製作されたオートマタ。
上部の蓋が開いて小鳥が動き、さえずります。
指先ほどの大きさの小鳥がまるで本物のような動きで羽根を動かし、向きを変え、本物のような声でさえずります。
このような複雑なオートマタや歴史的な複雑時計を修復できる工房は、パルミジャーニ・フルリエ以外にないといわれています。
今日は朝から一流のケースメーカー、文字盤メーカー、ムーブメントメーカー、そしてパルミジャーニ・フルリエ本社を見学し、とても充実した一日でした。
中でも『神の手を持つ時計師』とよばれるミシェル・パルミジャーニ氏から直接パルミジャーニの歴史や修復の難しさについての話を聞けたことが、なにより楽しい時間でした。
それでは、明日のリポートもお楽しみに。
6,February,2024