【スイス紀行】マニュファクチュール・ツアー1日目『エルウィン』『アトカルパ』
今日はパルミジャーニ・フルリエのムーブメントに欠かせないパーツを製造している『エルウィン』と『アトカルパ』を見学しました。
■旋盤一筋のネジメーカー『エルウィン』
ホテルから車で1時間。ヌーシャテル湖の北東、ベルン州ベルプラオンにある『エルウィン』を訪れました。のどかな場所です。
会社の建物内での撮影は許可されていませんでしたので、画像なしでリポートさせていただきます。
『エルウィン』は1980年に創業し、2001年にパルミジャーニ・フルリエのグループに加入した旋盤加工の専業ファクトリーです。
超一流の技術力を持ち、スイスやドイツの名だたる時計ブランドが供給先になっています。
旋盤で加工される時計パーツのうち直径7mm以上のものはアトカルパが担当し、それより小さなパーツの製造をエルウィンが担っています。
中でも得意とするのが微細なネジの製造。どんな小さなネジでも旋盤切削でネジ山とヘッドを一体形成していて、締めつける時にも折れることのほぼないネジを作っています。
また、リューズの巻き芯やクロノグラフのコラムホイールを旋盤加工する技術も持っていて、その加工精度は後の仕上げをしなくても十分なほど高いそうです。
最小径は驚きの0.08mm!
旋盤一筋だからこその超一流の技術といえますね。
■充実のランチタイム
『レストラン・ドゥ・ラ・シゴーニュ』でランチを。
新鮮な野菜たっぷりのサラダに、
チキンのクリームソースのメイン料理。美味しい料理とワインに大満足です。
これも海外出張の魅力ですね。
■ヒゲゼンマイまで製造する稀有なメーカー『アトカルパ』
午後はアトカルパを訪問しました。
アトカルパはヌーシャテル湖の北、フランスとの国境近くのジュラ州アルという小さな町にあります。
アトカルパの前身は1976年の歯車メーカーで、2000年にグループに加入してから脱進機、さらにはヒゲゼンマイの自社製造を行い、今ではムーブメントの主要なパーツの大半を製造しています。
目指しているのは『手作業での調整をしなくて済む、高品質なヒゲゼンマイ』で、極めて高品質なアトカルパのヒゲゼンマイを含む調速脱進機は、パルミジャーニ・フルリエ以外にもスイスの名だたる時計ブランドが欲しがり、年間生産数は25万個に及ぶそうです。
また、創業当時から作っている歯車も超高級で、全てに歯の面取り、歯と歯の間の磨き、さらに表面に装飾を施して、仕上げにうるさい超名門ブランドの要望に応えています。
天真や歯車の軸も先端に強い圧力をかけて硬度を上げ、先端を丸く研磨することで摩擦を軽減しているそうです。
最高の仕上げを施すアトカルパの部品は美しいだけでなく、それを組み込むムーブメントの性能までも向上させているのです。
今日は時計にとって最も重要といえるムーブメントの精密部品を製造する2つのメーカーを見学し、表舞台に出ないこんなに凄い技術を持った会社があるんだと驚き、感動しました。
今日のツアーはこれにて終了です。
明日のリポートも、どうぞお楽しみに。
5,February,2024