パノマティックルナに深みのあるグリーン文字盤について言えば、まずは真鍮の文字盤をガルバニック加工（電気分解によるメッキ加工）によって全体にニッケルコーティングを施した後、外側のエッジ部分にブラックラッカーを丁寧に噴霧することで独特のグラデーションを表現します。

　さらに表面全体を透明のグリーンラッカーでさらにコーティング。こうした精緻な手作業によって質感豊かなカラーグラデーションが生み出されます。ムーンフェイズディスクも自社の文字盤ファクトリーで作られており、フライス盤（切削工具を回転させることで平面、溝、歯車などの切削加工を行う工作機械）を使って、2つの月を切り出し、月の形に凸面フォルムを成形しています。その後、ダイヤモンドミリングドリルで月の表面を研磨し、美しい輝きを与えています。このようにパノマティックルナの文字盤だけでも、それぞれの分野に長けた専門分野の職人の手によって約40もの工程を経て作られるのです。文字盤一つとってもメゾンのこだわりと情熱を感じさせますね。

サファイアクリスタルのケースバックから覗くムーブメントは既存モデルと同様で自社製のCal.90-02が搭載されています。グラスヒュッテ・オリジナルの特徴ともなっているダブルスワンネック緩急微調整をはじめ4分の3プレート、ブルースクリュー、ネジ留めゴールドシャトン、グラスヒュッテストライプ装飾など丁寧な仕上げが施されています。

スイスとは違った美しさを放つドイツ・グラスヒュッテオリジナルの時計は、見ているだけでオーナーの所有欲を満たし、ウオッチメイキングの背景を想像させてくれます。