【スイス紀行】マニュファクチュール・ツアー 2日目(前編)『レ・アルティザン・ボワティエ』『カドランス・エ・アビヤージュ』
今日2月6日は、『レ・アルティザン・ボワティエ』『カドランス・エ・アビヤージュ』『ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ』『パルミジャーニ・フルリエ本社』を訪れます。
こちらの前編では午前に訪れる『レ・アルティザン・ボワティエ』と『カドランス・エ・アビヤージュ』の様子をお伝えします。
ヌーシャテル湖畔のホテルから車で約30分のラ・ショー・ド・フォンに向かいます。
ラ・ショー・ド・フォンの街並みです。この町の周辺にはたくさんの時計ブランドやサプライヤーがあります。
向かう道中にカルティエの時計工場が見えました。
■ケース製造の『レ・アルティザン・ボワティエ』と、文字盤製造の『カドランス・エ・アビヤージュ』
『レ・アルティザン・ボワティエ』と『カドランス・エ・アビヤージュ』は同じ建物にあります。
それぞれケースと文字盤を製造する会社なので、時計の部品の中でも近い存在といえますね。
こちらも建物の中は撮影できませんので、画像なしでリポートさせていただきます。
■ケースのエキスパート『レ・アルティザン・ボワティエ』
若い頃、時計師になるか建築家になるか迷い、時計師の道を進んだミシェル・パルミジャーニ氏は、フィボナッチ数列に代表される黄金比に基づいた美しく個性的なデザインで高い評価を得ています。
それだけに、それぞれのパーツを製作するサプライヤーは高度な技術を要します。
特にデザインを形にするのが難しいとされるケースを製作しているのが、2000年にグループに加入した『レ・アルティザン・ボワティエ(LAB)』です。旧称は『ブルーノ・アフォルテ』といい、当時から高級ケースメーカーとして知られていました。
この会社は現在もパルミジャーニ・フルリエ以外に20社近くの高級時計ブランドのケースを製造しています。
ここではCADを使って一つひとつのケースデザインを3Dで行い、その後CNC旋盤を使ってケースのパーツをミクロン単位の精度で仕上げています。
LABで製造されるケースは全て、型抜きでなく切削で作られます。
鍛造された素材の塊を仕入れ、それをCNC旋盤やワイヤー放電加工機で削り出し、伝統的な手作業で磨き上げて仕上げていきます。
最先端の機械技術と伝統的な職人の手仕上げを組み合わせることで、ミシェル・パルミジャーニ氏の自由な発想でデザインされた美しい時計のケースを実際に形にすることができるんですね。
■芸術品と称される文字盤を製造する『カドランス・エ・アビヤージュ』
パルミジャーニ・フルリエの時計を見ると、まず文字盤の美しさに目を奪われます。
文字盤はいわば時計の“顔”であり、時計を見る行為はまさに文字盤を見ることだともいえます。
ここカドランス・エ・アビヤージュでは、その美しい仕上げの施された最高品質の文字盤の製作を行っています。
『カドランス・エ・アビヤージュ』は『レ・アルティザン・ボワティエ』と同じ建物にあります。
パルミジャーニ・フルリエの美観を決定づける外装部門がひとつの建物に集約されることで、ケースと文字盤の各部門が密に連携でき、外観の美しさをトータルで高めることができています。
■究極の美しさを生み出す、少数精鋭の工房
2004年にグループに加入した文字盤専業の『カドランス・エ・アビヤージュ』は腕利きの揃う少数精鋭の工房です。
一人ひとりの職人がいくつもの工程を担当できる熟練の技術を持っています。
パルミジャーニ・フルリエ以外にも、スイスのル・ブラッシュやドイツの一流ブランドの文字盤を手がけています。
よくあるプレスでなく機械で彫っているので、鋭いエッジのあるギョーシェを彫ることができます。
硬くて脆いため加工が難しい隕石も丁寧に仕上げます。文字盤用の隕石は薄く、インダイヤルやロゴのどの加工時に反りが生じやすいですが、独自のノウハウで完璧に平らに仕上がっています。
パルミジャーニ・フルリエの外装を手がけるサプライヤー2社を訪問し、その製作工程を見学してあらためて、それぞれの専門技術の高さに感動しました。
それではこのあとランチをいただいて、午後は待望の『ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ』と『パルミジャーニ・フルリエ本社』を訪問させていただきます。
6,February,2024