ピアジェの傑作ムーブメント『910P』とは
皆さま、こんにちは。
今年の5月に『進化を続ける極薄時計』というタイトルで、『ピアジェ アルティプラノ』を紹介しましたが、今回は極薄時計アルティプラノの中でも特にピアジェならではの個性と技術を追求したモデルである『アルティプラノ アルティメート・オートマティック』と、この時計に搭載されているムーブメント『キャリバー910P』について紹介いたします。
■時計界のアカデミー賞、『GPHG』受賞
『アルティプラノ アルティメート・オートマティック』は、時計業界のアカデミー賞ともいわれる『ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)』で2021年に『特別なメカニカル賞(Mechanical Exception Prize)を受賞しました。
GPHGは、『最も注目に値する現代の作品を称え、世界中の時計製造技術を宣伝する』目的で2001年に創設され、その年に発表された新作時計の中から優れたモデルが選出されます。
約500人のアカデミー会員は時計職人、デザイナー、時計関連産業従事者、歴史家といった時計のプロフェッショナルだけでなく、ジャーナリストやインフルエンサー、コレクターといった時計の目利きたちによって構成され、マニアックな技術面から一般的なトレンド感まで幅広い目を持って審査されます。
選出方法は、約500人のアカデミー会員の投票によって、まず各カテゴリーに計84本の時計がノミネートされます。そしてカテゴリー別に投票が行われ、各カテゴリーのグランプリが選ばれます。
『特別なメカニカル賞』は、特殊な設計や技術を用いて製造された機械式時計に贈られる賞で、このとけの斬新な機構と技術が評価されての受賞となりました。
■アルティプラノ アルティメート・オートマティックの独特な機構
このモデルの個性的なところは、わずか4.3mmという薄さだけでなく、その独特な機構にあります。
通常、機械式時計はケース内部の地板からケースバックに向かってムーブメントを組み上げ、地板の裏側、つまり風防側に文字盤があります。
しかし、この時計はケースバックがそのまま地板となり、そこから文字盤に向かってムーブメントを組み上げています。
つまり一般的なムーブメントと逆向きに組んでいるため、文字盤側から歯車がよく見える構造になっているのです。
下の図は『アルティプラノ アルティメート・オートマティック』の展開図です。
ケースバックが地板の役割をして、厚さ4.3mmのケースに238個のパーツが組み上げられています。
そしてこの時計は自動巻きなのですが、一見するとローターがありません。
しかしよく見ると、文字盤の周囲にある『910P』という文字が書かれたブルーとピンクゴールドのツートンカラーの細いリングがあります。
このリングが24金製のペリフェラルローターになっていて、文字盤の周囲をくるくると回るのです。
このペリフェラルローターによって、ムーブメントに厚みを出すことなく自動巻き機構を実現しています。
こちらは既存モデルの、色違いのアルティプラノ アルティメート・オートマティックの黒く塗装されたペリフェラルローター。
文字盤側からローターが回る様子が見えるのも、時計好きとしては魅力です。
さらにオフセットさせた文字盤の周りに輪列を配置することで、この薄さを実現しているのです。
今年、既存モデルの色違いとしてこのブルー文字盤のモデルが発売されましたが、ピンクゴールドとブルーの組み合わせが美しく色気のある雰囲気で、極薄のアルティプラノにとてもよくマッチしています。
■ピアジェ『アルティプラノ アルティメート・オートマティック』
【ケース】
18Kピンクゴールド
直径41mm
厚さ4.3mm
2気圧防水
ブルーアリゲーターストラップ
【ムーブメント】
ケースと一体型の910P自社製自動巻き
パワーリザーブ48時間
21,600振動
部品数238個
■まとめ
いかがでしたか?
最もピアジェらしさを体現するモデル、アルティプラノの中でもひときわその存在感を放つ『アルティプラノ アルティメート・オートマティック』。
エレガンスの象徴である薄さを追求するために極限まで進化したこのモデルは、極薄であるだけでなく強い存在感を放つ特別な時計になっています。
そこにはムーブメント会社として誕生し、長年にわたって薄さを追求し続けているピアジェが研ぎ澄ましてきた技術と美意識が詰め込まれています。
ぜひ、店頭でその魅力を感じてみてください。
17.N0venber.2023