パルミジャーニ・フルリエ新作『トンダPFスポーツ』の魅力に迫る
皆さま、こんにちは。
長い歴史を持つ高級時計ブランドが多い中、創業20数年という短い期間で時計愛好家の間で特別な存在感を放つブランドになったパルミジャーニ・フルリエ。
そのパルミジャーニ・フルリエから今年、ラグジュアリースポーツモデル『トンダPFスポーツ クロノグラフ』が発表され、話題になっています。
今回は、パルミジャーニ・フルリエが高い評価を得ている理由を3つのパートに分けて紐解き、続いて最新モデル『トンダPFスポーツ クロノグラフ』の紹介をさせていただきます。
パルミジャーニ・フルリエが支持される理由
■その①『神の手を持つ』といわれる技術力
ミシェル・パルミジャーニは、スイス北西部の町フルリエの近郊で1950年に生まれました。
技術と芸術性を組み合わせたふたつの分野、時計師と建築家の進路で迷った結果、ミシェルは時計師の道を歩みます。
1976年に修復専門の時計工房を開設後、パテック・フィリップ博物館やデ・モン博物館の所蔵品の修復などを行い、その技術を評価され1980年よりサンドファミリー財団が所有する時計博物館の膨大なコレクションの修復と管理を担当するようになりました。
若き日のミシェル・パルミジャーニ
彼の名が時計界で有名になったのは、修復不可能といわれていたあるアンティーク時計を蘇らせたことがきっかけです。
マリー・アントワネットの時計師として知られる天才アブラアン・ルイ・ブレゲが1800年頃に製作した『シンパティック・クロック(同調時計)』は、あまりの複雑さゆえに専門家にもその構造がわからず、設計図も失われ、誰にも修復できませんでした。
その歴史的な複雑時計の修復に成功し、ミシェル・パルミジャーニは大きな注目を集め、『神の手を持つ時計師』と呼ばれるようになりました。
【サンドファミリー財団とは】
サンドファミリー財団は1886年にスイスのバーゼルで化学薬品の会社として創業し、1996年に製薬会社ノバルティスを設立しました。
現在ノバルティスは世界で3番目に大きな製薬会社となっています。
スイス・バーゼルにあるノバルティスグループの本社ビル(安東忠雄氏が設計)
サンドファミリー財団は歴史的な複雑時計やオートマタ(機械人形)のコレクションを所蔵していて、中でもとりわけ有名なものが、『ファベルジェの卵』と呼ばれるインペリアル・イースターエッグです。
ファベルジェの卵とは、ロマノフ朝最後の皇帝ニコライ2世とその父アレクサンドル3世のために製作された、たいへん希少な美術品です。
ミシェル・パルミジャーニは精巧なからくりによって動くファベルジェの卵の修復も行いました。
ゼンマイや歯車による精巧な仕掛けを組み込んだ自動機械のことを、オートマタと呼び、このイースターエッグもそのひとつです。
超絶技巧の粋を集めたロストテクノロジーのかたまりであるオートマタを修復するために、構造をじっくりと分析し、膨大な関連資料を紐解き、先人たちへ敬意を捧げつつ、信じられないほどの忍耐力で取り組まなければなりません。
ミシェルは修復によってスイスの文化遺産を未来に継承するとともに、そこから得た先人たちの技術を自身のものにしてきました。
そして、彼の才能に惚れ込んだサンドファミリー財団の全面的なバックアップによって、ミシェルは自らの名を冠したブランド『パルミジャーニ・フルリエ』を1996年に立ち上げることとなりました。
■その② 黄金比に基づいたデザイン
若い頃に建築家の道と迷った結果、時計師になったミシェル・パルミジャーニは、『フィボナッチ数列』という黄金比に基づいてデザインした時計を製作しています。
植物や貝殻など自然界のいたるところに見られる黄金比を数学的に導き出した『ゴールデンスパイラル(黄金曲線)』は、古代建築にはじまり現代のあらゆるデザインに応用されています。
ひまわりの種の配列は右周回と左周回の比率が1:1.618のフィボナッチ数列になっていて、これが円の中に最も多くの種をつけられる並びです。
パルミジャーニ・フルリエのトリックの文字盤にもこれと同じパターンのギヨシェが彫られています。
古代ギリシャ建築に見られる黄金比でデザインされた円柱と、その台座からインスピレーションを得た、段差とローレット加工を施したベゼルとリュウズ。
黄金比は『調和のとれた美しさ』と表現され、人間が本能的に美しいと感じる神秘の比率といわれています。
その黄金比を計算に基づいてデザインに取り入れているのは、建築デザインや自然の美しさを良く知るミシェル・パルミジャーニならではの感性だといえるでしょう。
■その③ マニュファクチュールを実現する企業体制
スイスのヌーシャテル州にあるフルリエは、時計づくりに関連した企業や工房が数多く存在する、伝統ある町です。
スイスの時計産業はそれ自体が巨大な企業のようなもので、ムーブメント、ケース、サファイアガラス、針などそれぞれの専門の会社が時計ブランドに部品を供給している構造です。
そのため、部品の全てを自社で製造できるブランドは数少なく、パルミジャーニ・フルリエはそのひとつです。
パルミジャーニはその傘下に5つの専門企業を持ち、レザーストラップ以外の全ての部品を自社で製造できるマニュファクチュールです。
サンドファミリー財団はこの体制づくりを推進し、パルミジャーニ・フルリエを外部に依存しない独立したマニュファクチュールに育てました。
まず、高級時計のケース製造で知られたブルーノアフォルテ(現アルティザン・ボワティエ)を買収し、どんな複雑なケースも1点から作れるようになりました。
続いて、ヒゲゼンマイや歯車を製造するアトカルパを傘下に収めました。
ヒゲゼンマイは大手ブランドでも外部からの供給に頼らざるを得ない精密部品で、自社で質の高いヒゲゼンマイを作れるブランドはほとんどありません。
さらに精密切削加工専門のエルウィンと文字盤製作専門のカドランス&アビヤージュを買収しました。
そして、もともとミシェルの会社だった高級ムーブメント会社ヴォーシェにも出資して、ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエを設立しました。
こうしたレベルの高い企業を垂直統合することで、パルミジャーニ・フルリエはパーツを外部調達することなく、全てを自社で製造できる稀有な時計ブランドになったのです。
■新作『トンダPFスポーツ クロノグラフ』
新作『トンダPFスポーツ』は、奥ゆかしくエレガントな『トンダPF』のスポーティバージョンとして、2023年に発表されました。
『トンダPFスポーツ』には「オートマティック」と「クロノグラフ」の二種類があり、それぞれにステンレススティールと18Kローズゴールドの二種類の素材が設定されています。
既存モデルのトンダPFのベゼルのローレット加工には225本の刻みが入っていますが、このトンダPFスポーツのベゼルのローレット加工は160本と少なく、深い立体感により大胆な光の反射でスポーティな表情になっています。
文字盤は、職人の手で彫られた『クル・トリアンギュレール』パターンのギヨシェが刻まれています。
何世紀も前からある職人技術ですが、表面に豊かな質感と様々な角度からの光による表情の変化を生み出します。
コーデュラ加工されたラバーストラップは職人の手で作られ、ハンドステッチが施されています。
ケースと一体化したようなストラップが、さらに上品な雰囲気を出しています。
トンダPFスポーツ クロノグラフには、COSC認定の自社製自動巻きキャリバー『PF070』が搭載されています。
65時間パワーリザーブで36,000振動。コラムホイールのクロノグラフムーブメントです。
ローターは22金ローズゴールド製で、職人の手で面取りしたサテン仕上げのオープンワークのブリッジとローター中央に施されたローレット加工が品格を与えています。
トンダPFスポーツ クロノグラフ
品番:PFC931-1020001-400182
■ムーブメント
PF070 COSC認定自社製自動巻き、一体型クロノグラフムーブメント
パワーリザーブ65時間、22Kゴールド製ローター
■ケース
ステンレススティール、直径42mm、厚さ12.9mm、ねじ込み式リューズ
防水性:10気圧
■文字盤
『クル・トリアンギュレール』ギヨシェ仕上げのシルバー&ブラック文字盤。
ロジウム加工の18Kゴールド製アプライドインデックス、ブラックの夜光塗料
ロジウム加工の18Kゴールドの時分針、ブラックの夜光塗料
■ストラップ
ブラックラバー、18Kローズゴールドのフォールディングバックル
■価格
¥4,158,000(税込)
■まとめ
いががでしたか?
パルミジャーニ・フルリエは創業20数年という短い期間で非常に高い評価を得る時計ブランドになりました。
それは『神の手を持つ時計師』とよばれるミシェル・パルミジャーニの類まれな技術とデザインセンスによるものであり、また、新たに加わったトンダPFシリーズの、時代への適合性によるものだと思います。
美しく魅力的な『トンダPFスポーツ クロノグラフ』を、ぜひ店頭でご覧ください。
3.Nov.2023