ブルガリ『オクト』を通じて見る、イタリア・ローマの風景
皆さま、こんにちは。
今回は、ラグジュアリーブランドでありながら、最近では時計好きなお客様からの関心も高いブルガリ『オクト』と、そのデザインのルーツであるイタリア・ローマ建築のお話をさせていただきます。
今やブルガリのメンズウォッチを代表するモデルとなった『オクト』は八角形(オクタゴン)をベースにした幾何学的なデザインが特徴です。古来より世界の様々な場所で、8は縁起の良い数字として尊ばれてきました。
日本では、八は「末広がり」。中国では八角形は「八卦(はっけ)」と呼ばれ、悪い気を消し、邪気を寄せ付けず、すべての方角から幸運を引き寄せるパワーがあるといわれています。
またキリスト教においても『8』はイエスの復活を意味していて、中国、日本、ヨーロッパなど様々な国の寺院や礼拝堂などに八角形の建築を見ることができます。
このように、8という数字や八角形は昔から富や繁栄の象徴として大切にされ、八角形の時計もまた運気の上がるアイテムとして人気があります。
■ブルガリのデザインのルーツ
ブルガリは1884年にイタリア・ローマで創業しました。
古代ローマ以降、様々な建築を蓄積してきたローマは、都市全体がまるでひとつの博物館のようで、ブルガリのデザインに強い影響を与えています。
ブルガリ『B-Zero1』のモチーフになったコロッセオ
オクトのデザインにインスピレーションを与えた八角形の建築デザイン
■ローマの遺跡から湧き出すパワー
今から11年前の2012年7月、ブルガリのオクト発表イベントで初めてローマを訪れました。
その時に感じたのは、首都ローマの大都会の中にこんなにも遺跡がたくさんあり、町の風景に溶け込んでいることに対する驚きと、その歴史を知らなくても否応なしに感じさせられる迫力や歴史の凄味のような感覚でした。
■歴史的遺産に対するブルガリの支援
ブルガリは、ローマへの感謝の表現の一つとして遺跡の保存を支援しています。2016年には、映画『ローマの休日』でオードリー・ヘップバーンがジェラートを食べるシーンで知られる観光名所、スペイン広場の階段を約150万ユーロ(当時のレートで約2億1千万円)かけて修復したそうです。
ローマ・コンドッティ通りのブルガリ本店。先に見えるのがスペイン広場。
■オクト フィニッシモの造形美
イタリア人であるブルガリウォッチデザイナーのファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニによると、オクトのデザインのモチーフはローマの新古典主義の建築様式にあるそうです。
華美な装飾を省き、面と段差による光と影のコントラストを表現した建築様式が、オクトのデザインにインスピレーションを与えているそうです。
正八角形の台座に丸型のベゼルを重ねたデザインはまさに、手の込んだ伝統的な建築を思わせる形状をしています。
この『オクト フィニッシモ クロノグラフ』は、8.75mmというケースの薄さが信じられないほどの立体感と奥行があり、存在感は凄いですが、手首に着けると袖口にすっきりと収まるフィッティングの良さが、エレガンスを追及するブルガリらしさを出しています。
また、リューズ上下のプッシュボタンはケースと一体化し、まるでリューズガードに擬態しているようです。こういったところも隙のないディテールになっています。
■世界最薄のクロノグラフGMT
この時計のムーブメントは、わずか3.3mmの世界最薄自動巻きクロノグラフにGMT機能まで搭載しています。パーツ点数318点という複雑さでこの薄さは驚異的で、ブルガリの5つ目のワールドレコードとなっています。
ブルガリはいくつかのカテゴリーで世界最薄記録を更新していますが、このモデルで初めてペリフェラルローターを採用しています。
一見するとローターがないように見えますが、プラチナとチタンを半周ずつに分けて使ったローターがムーブメントの外周部分を回る姿を見るのも、時計好きとしては楽しいところです。
110面のファセットで構成される複雑なケースはそれぞれの面をヘアラインとポリッシュに磨き分けてあり、光が当たった時の輝きと陰影のコントラストが目を引きつけます。
■オクト フィニッシモ クロノグラフ 103468
ケース径:43mm、ケース厚さ8.75mm、シースルーケースバック
ケース素材:K18PG
文字盤:サンレイパターンを施したブラウンラッカー仕上げ
ストラップ:ブラウンアリゲーターストラップ
防水:10気圧
ムーブメント:自社製自動巻き極薄ムーブメントBVL318(厚さ3.3mm)、クロノグラフ機能、GMT機能、パワーリザーブ55時間、28,800振動
価格:¥4,785,000(税込)
■まとめ
いかがでしたか?
イタリア・ローマの遺跡や建築からインスピレーションを受けて生まれるブルガリのデザインは、一見ファッション性が高く個性的ですが、実際には古代から受け継がれる普遍的な『美しさ』や『意味』といったものを、緻密な計算に基づいて追及した結果だということがわかります。
そして、『エレガンス』というブランドのテーマを表現するために、極薄ムーブメントを多面体のケースに収めて『薄さ』と『立体感』という相反する要素を共存させ、今までになかったラグジュアリーウォッチの姿を実現しているのがオクト フィニッシモの唯一無二の存在感に繋がっているのだと思います。
ぜひ一度、店頭でご覧ください。